新しい材料を作っても、その中がどうなっているか分からなければ、性能を確かめたり、うまく作れない原因を調べたりできません。日本電子株式会社(JEOL)は、物質の細かな形や構造を調べる装置を、大学・研究機関や企業の研究開発部門へ届ける会社です。電子を細く絞って使う技術は、半導体の微細な模様を描く装置にもつながっています。[1〜4]
簡単にまとめると?
- 研究者やメーカーが、材料の形・成分・分子構造を調べるための装置を作る会社です。
- 電子顕微鏡などの分析装置に加え、半導体を作るための描画装置や、導入後の点検・修理も手がけます。
- 業績を見るときは、研究予算や半導体投資の動きに加え、大きな装置の売上を計上する時期にも目を向ける必要があります。
研究室や工場は、何のために日本電子の装置を買うのか
日本電子は1949年設立で、本社は東京都昭島市にあります。現在の事業紹介では、「理科学・計測機器」と「半導体・産業機器」の2つを柱にしています。前者は物質を調べる仕事、後者は微細な加工やものづくりに使う装置の仕事と捉えると、会社の全体像をつかみやすくなります。[1・2]
たとえば材料の研究では、表面の細かな形を見たい場合と、分子がどのようにつながっているかを知りたい場合で、必要な装置が違います。日本電子は電子顕微鏡、核磁気共鳴装置、質量分析計などをそろえ、調べたい対象と目的に応じた測定を支えています。[2・3・5]
細かな形を見る装置と、分子構造を調べる装置
電子顕微鏡は、電子を利用して非常に小さな構造を観察する装置です。日本電子は、試料を通り抜ける電子を使う透過電子顕微鏡(TEM)などを扱い、材料研究、半導体の検査、生体分子の研究に向けた製品を展開しています。同じ顕微鏡でも、調べる試料や目的に合わせて機種や周辺装置を選びます。[2・3]
核磁気共鳴装置(NMR)は、強い磁場の中で原子核から得られる信号を使い、分子の構造を調べます。製薬・食品・化学分野に加え、電池材料などにも用途があります。日本電子は、磁場を作る超伝導マグネット、信号を測定・解析する分光計、試料からの信号を受け取るプローブを含むシステムを提供しています。[5]
装置を届けた後も、性能を維持するための点検や故障時の修理が必要です。同社の保守契約には、定期点検、随時の修理、交換部品などの項目があり、範囲は契約プランによって異なります。顧客は装置そのものに加え、長く使い続けるための支援にも対価を支払います。[6]
電子を使う技術を、半導体の製造や加工にも生かす
半導体・産業機器では、電子ビーム描画装置が主要な製品の一つです。電子の細いビームで精密な模様を描く装置で、半導体や光デバイスを作る工程などに使われます。会社の製品群には、薄い膜を作るための電子銃やプラズマ源、金属を積み上げて造形する電子ビーム金属3Dプリンターも含まれます。[2・4・8]
日本電子を見るうえでは、こうした製造装置と、研究・分析のための装置を分けて考えることが役立ちます。大学や公的研究機関の研究予算が動く時期と、半導体メーカーが生産設備へ投資する時期は、必ずしも重なりません。これは顧客の違いから考えられる事業の見方です。同社の最新決算でも、研究関連の政策や、装置ごとの需要・輸出規制の影響を分けて説明しています。[8]
医用機器事業の譲渡で、以前の事業構成から変わった
以前の日本電子には、臨床検査などに使う医用機器事業もありました。この事業を引き継いだ新会社の株式は、2026年4月1日にシスメックスへ譲渡され、Sysmex BioMajestyとして事業を開始しています。現在の会社を理解するときは、譲渡前の3事業の説明を、そのまま現在の構成として扱わないことが大切です。[7]
決算では、装置の売上が立つ時期も確かめる
2026年3月期の連結売上高は1,793億5,300万円でした。これに対し、2027年3月期第1四半期(2026年4〜6月)の連結売上高は244億6,500万円で、前年同期比39.1%減。営業損失は19億6,100万円でした。年度全体と3か月の数字は、期間をそろえて比較する必要があります。[1・9]
会社は、この四半期の減収減益について、一部の描画装置の売上計上時期や輸出規制強化の影響を挙げています。一方で、スポットビーム型描画装置の受注は堅調としています。製品ごとに状況が異なるため、全社売上の減少だけから、すべての装置の需要が同じように落ちたとは読み取れません。[8]
下の原図では、前年同期の営業利益から今回の営業損失へ至る要因を会社が示しています。円安による押上げなどがあっても、「売上数量減等」の減益影響が上回ったという説明です。図の金額は億円単位に丸められているため、上記の決算短信の数値とは表示の桁が異なります。[8・9]

今後を追う際は、研究・分析装置の受注、半導体向け装置の納入と売上計上、輸出規制の対象、医用機器事業を除いた比較範囲を確認すると、数字が変わった背景を理解しやすくなります。四半期の業績や会社の見通しは、株価の上昇を保証するものではありません。
日本電子株の購入先を比較する
日本電子の普通株式は東京証券取引所プライム市場、証券コード6951です。取引通貨は日本円(JPY)、通常の売買単位は100株です。以下は2026年11月4日に確認した現物株の案内です。[1・10・11]
- 楽天証券:日本電子6951の銘柄ページから、同銘柄の国内株式買い注文へ進む入口を確認できます。「ゼロコース」はSOR(複数の市場等から注文先を選ぶ仕組み。Rクロスを含む)の利用同意が条件で、国内株式の売買手数料は0円です。IFA契約や電話注文は条件が異なります。[10・12]
- 松井証券:日本電子6951の銘柄ページに「現物買」の入口があります。26歳以上の通常のボックスレートは、現物・信用を合わせた1日の約定代金50万円まで0円、50万円超100万円まで1,100円(税込)です。25歳以下やNISAなどは別の条件があります。ベストマッチの改善成功報酬など、通常手数料とは別の費用も確認してください。[11・13]
- SBI証券:国内上場株式を扱うことと、所定のインターネットコース・電子交付設定による手数料無料条件は確認できます。ただし、この比較では6951の個別の新規現物買付入口を確認できていないため、下のリンクは取扱いの確認窓口として案内しています。[14・15]
購入する場合は、各社の口座へログインし、6951・日本電子・現物買を確認したうえで、株数、価格、預り区分などを指定します。通常は株価×100株分以上の買付資金が必要です。操作方法は楽天証券の現物取引デモ、松井証券の操作ガイドで確認できます。口座ごとの注文受付条件は発注前に確かめてください。
6951の個別の新規現物買付は未確認(2026年11月4日)。購入可能と確認済みの案内ではありません。
ここでは現物株の購入経路を比較しています。株価の変動により損失が生じることがあります。手数料・取扱いは変更されるため、各社の最新条件をご確認ください。
株価の推移
日本電子(TSE:6951)の株価は、TradingViewの銘柄ページで確認できます。表示通貨は日本円(JPY)です。東証株の無料データは20分遅延します。[16]
参考資料
- 日本電子:会社概要・株式情報
- 日本電子:事業紹介
- 日本電子:透過電子顕微鏡(TEM)
- 日本電子:電子ビーム描画装置
- 日本電子:核磁気共鳴装置(NMR)
- 日本電子:保守契約
- シスメックス:日本電子の医用機器事業の取得完了(2026年4月1日)
- 日本電子:2027年3月期 第1四半期決算説明資料(2026年8月14日、pp.4〜7)
- 日本電子:2026年6月30日終了の第1四半期連結決算・英訳(2026年8月14日、p.1)
- 楽天証券:日本電子6951・現物買付入口
- 松井証券:日本電子6951・現物買付入口
- 楽天証券:国内株式の現物取引手数料
- 松井証券:手数料
- SBI証券:国内株式の取扱い・取引ルール
- SBI証券:国内株式手数料無料の対象条件
- TradingView:市場データの配信条件
