日本ペイントコーポレートソリューションズ(日本ペイントCS)は、日本ペイントグループの国内各社が事業を進めるために必要な、管理業務、研究開発、生産技術、ITなどを担う会社です。自動車や建物、船などに使う塗料の事業を、複数の会社に共通する専門的な仕事から支えています。
日本ペイントという名前から塗料の製造・販売を思い浮かべますが、この会社を理解するには、グループの中で誰の仕事を支えているのかを見ると分かりやすくなります。
簡単にまとめると?
- 支援先は日本ペイントグループの国内事業会社です。財務や人事、法務に加え、研究、工場の技術、情報システムなどの共通機能を担います。
- 2021年に設立され、2022年1月に親会社から国内事業の支援業務を引き継ぎました。日本ペイントホールディングスの100%子会社です。
- 研究によって塗料開発の手間を減らすことも、ITを安定して使えるようにすることも仕事の一部です。役割の広さと、それぞれの取り組みの成果を分けて読む必要があります。
国内のグループ会社を支えるために生まれた会社
正式名称は日本ペイントコーポレートソリューションズ株式会社。本社は大阪市北区にあり、2021年10月14日に設立されました。2022年1月には、日本ペイントホールディングスが担っていた国内事業会社への支援業務を引き継いでいます。[1][2]
親会社が説明した設立の目的は、国内各社への支援を専門性と効率の両面から高め、国内事業の収益性につなげることでした。上場会社としての機能や持ち株会社の機能を親会社に残し、国内事業を支える機能を日本ペイントCSへ移したという成り立ちです。[2]
支援先には、自動車用、建物などに使う汎用、工業用、船舶用といった塗料の事業会社があります。それぞれ扱う製品や顧客は違っても、会計、人材、情報システム、安全管理などの仕事は必要です。日本ペイントCSは、そうした仕事を専門家の立場から受け持ちます。[1][3]
管理業務から研究・生産・ITまで
公式サイトの事業紹介には、財務、人事、総務、法務・コンプライアンス、監査や内部統制が並びます。たとえば、会社のお金や人材を管理する仕事と、法令や社内ルールに沿って事業を進める仕事です。
さらに、技術開発・研究、生産企画・生産技術、労働安全・製品安全・環境保全も担います。塗料を開発するための知識、工場で安定してつくるための技術、安全に扱うための管理まで、製品ができる過程に関わっています。ICT基盤や情報システムを整え、各社の業務を動かすことも役割の一つです。[1]
親会社の2025年12月期有価証券報告書では、日本ペイントCSの事業を「国内グループ会社事業支援」と記し、親会社との取引として管理業務の委託を挙げています。同社を見るときの中心は、国内各社にどのような支援を提供し、各社が製品を開発・供給する力につなげているかです。親会社の連結売上や利益を、そのまま日本ペイントCS単体の業績として読むことはできません。[3]
研究の例:塗る前の塗料から、仕上がりを確かめる
研究業務の例が、東京大学との塗料分析の共同研究です。黒色塗料には、色を付ける顔料のほか、樹脂や分散剤など複数の成分が入っています。同じ量の顔料を使っても、粒子がどのように集まっているかによって、塗った後の黒さが変わります。
2026年10月の発表では、遠心Field-Flow Fractionation(遠心FFF)という、粒子を分けて調べる分析法を使い、塗料の中の顔料の凝集状態を捉えています。塗料の段階で測った違いと、塗膜にした後の黒さの違いを結び付けた研究です。論文は同年7月22日に公開されました。[4]
実際に塗膜をつくって確かめる試作の回数を減らせれば、開発にかかる時間や材料、エネルギーを抑えられます。ただし、発表で示されているのはその可能性です。この研究によって会社全体の費用がすでにどれだけ減ったか、という実績が公表されたわけではありません。
ITの例:使える状態を保ち、問題を把握する
ITの仕事は、従業員が日々使うネットワークやシステムを支えるものです。ユニアデックスが2023年10月に取材した導入事例では、日本ペイントCSが、複雑になったネットワークの構成やセキュリティの状態を把握し、改善する取り組みを紹介しています。[5]
同事例では、インターネットへの通信を管理するZscaler Internet Accessや、社内システムへのアクセスに使うZscaler Private Accessを導入しています。通信やセキュリティの記録を集めて確認し、運用手順を整備する仕事も含まれます。ここでの日本ペイントCSは、国内グループで使うITを整える側です。
この資料は2023年当時の取り組みを示すもので、現在の全拠点・全端末の構成を示す一覧ではありません。それでも、研究だけでなく、毎日の業務を動かす仕組みまで同社の仕事が広がっていることが分かります。
会社の役割を読むときに見るところ
日本ペイントCSの仕事は、支援先の国内事業会社が何を必要としているかによって変わります。新しい材料や製品を開発するには研究の知識が必要ですし、生産や販売の規模が変われば、人材、システム、安全管理にも対応が必要になります。
事業を理解するうえでは、研究成果をどの製品や工程に役立てるのか、共通システムを安定して使えるか、国内各社の業務負担や費用をどう改善しているかが手がかりになります。新しい分析手法の発表と、製造現場での採用や費用削減の実績は、それぞれ確かめていく必要があります。
株式の位置づけ
2026年11月5日に確認した会社概要では、日本ペイントホールディングスが日本ペイントCSの株式を100%保有しています。一般の証券口座で日本ペイントCSの株式を直接購入するための上場銘柄は確認できません。[1]
楽天証券、SBI証券、松井証券で確認できる銘柄コード4612は、親会社の日本ペイントホールディングスです。日本ペイントCSそのものの株式ではなく、海外事業なども含むグループ全体の株式に当たります。[3][6]
参考資料
- 日本ペイントコーポレートソリューションズ、事業紹介・基本情報・トップメッセージ(2026年11月5日確認)。
- 日本ペイントホールディングス、完全子会社との会社分割契約締結のお知らせ(2021年10月28日)。事業開始は現在の会社概要でも確認。
- 日本ペイントホールディングス、2025年12月期有価証券報告書(関係会社の状況など、gBizINFO掲載のEDINET提出資料)。
- 東京大学・日本ペイントホールディングス、塗料の状態から塗膜の発色性を評価できる新手法を開発(2026年10月20日)。
- ユニアデックス、日本ペイントコーポレートソリューションズ:ネットワーク&セキュリティー/Zscaler導入事例(2023年10月取材)。
- 親会社銘柄の名称照合:楽天証券、4612企業情報/SBI証券、国内株式・化学の銘柄一覧/松井証券、4601~4700の銘柄一覧(2026年11月5日確認)。
