Pasqal(パスカル)は、量子コンピューターの装置を作り、研究機関や企業が使えるようにするフランス発の会社です。顧客の施設へ装置を届けるだけでなく、インターネット経由で計算を実行できるクラウドや、計算手順を作るソフトウェア、導入支援も提供しています。
2019年に設立され、本社はフランスのパレゾーにあります。材料の性質を調べたい研究者や、複雑な計算を業務に取り入れたい企業に向けて、装置と使い方の両方を用意している会社と捉えると、事業を追いやすくなります。
簡単にまとめると?
- 原子を光で並べて制御する量子コンピューターを開発し、装置の納入とクラウドでの利用を提供しています。
- 計算の組み立てや試験も支援します。利用者は、普通のコンピューター上で試してから実機へ進めます。
- 出荷中の製品、研究成果、将来の製品計画は別です。事業を見るときは、導入が売上につながる時期と開発費も確認したい会社です。
装置を届け、使うところまで支える
Pasqalの中心にあるのは、中性原子方式の量子コンピューターです。電気的に中性のルビジウム原子を、細く絞ったレーザー光で捕まえて並べ、原子の状態や相互作用を制御して計算に使います。情報を扱う単位を「量子ビット」、計算を担う装置を「QPU」と呼びます。
装置を置く顧客には、スーパーコンピューターを運用する研究機関などがあります。Pasqalはドイツのユーリヒ研究センターやフランスのCEAで、従来の計算機と量子計算機を組み合わせる仕組みが稼働していると説明しています。既存設備と接続し、仕事を装置へ送って結果を受け取れるようにすることも、納入に伴う仕事です。
自分の施設に装置を持たない利用者には、Pasqal Cloudがあります。まずは普通のコンピューター上で量子装置の動きを模擬する「エミュレーター」で計算手順を試し、その後に実際のQPUで実行できます。無料のExplorerプランはエミュレーターが対象です。実機を使う従量制などのプランとは分かれています。
顧客の問題を、実行できる計算へ変える
装置があっても、解きたい問題をそのまま入力できるとは限りません。たとえば配送や生産の組み合わせを選ぶ問題では、何を最適化し、どんな条件を守るのかを計算の形にする必要があります。
Pasqalは、こうした用途に向けたソフトウェアと開発用の道具を用意しています。Pulserは原子を制御する光の与え方をプログラムするための道具で、ほかにも最適化や機械学習向けのソフトウェアがあります。導入支援では、顧客の計算上の課題を整理し、計算手順を開発し、実機で小規模な試験を行います。技術者の研修も対象です。
このため、会社の提供物は装置だけではありません。利用者は目的に応じて、装置の導入、クラウドの計算資源、専門家の支援を選びます。一方、開発用ソフトウェアにはオープンソースのものもあり、公開されている道具の数をそのまま有料契約や売上の数とみなすことはできません。
販売中の製品と、研究の数字を分ける
2026年11月4日に確認した製品ページでは、Orion Gammaは140以上の量子ビットを備え、すでに導入済みの機種です。次のVelaは2026年に受注し、2027年から納入する計画。Centaurusの利用開始目標は2028年とされています。将来の機種の能力を、現在納入している製品の仕様に足し合わせないことが大切です。
原図を見ると、上段の「HARDWARE PRODUCTS」は顧客へ提供する製品、下段の「HARDWARE R&D」は研究開発の計画として分かれています。原子を多数並べられたという研究成果と、その数を使って顧客が計算できる製品の完成は、同じ出来事ではありません。

また、物理的に用意した量子ビットと、誤りを抑えながら計算に使う「論理量子ビット」も区別が必要です。Pasqalは、現在のアナログ型の装置から、将来は誤りを訂正しながら計算できる方式へ進む方針を示しています。特定の実験で得た結果が、あらゆる業務で従来のコンピューターより速く、安く計算できることを意味するわけではありません。
売上と開発費から見る現在地
2026年1〜6月の売上高は約490万ユーロで、前年同期比14%増でした。このうちQPU関連サービスの売上高は約390万ユーロです。一方、営業損失は約5,920万ユーロ。ここには株式報酬約2,730万ユーロと、上場に伴う取引関連の一時費用約1,020万ユーロが含まれています。
同社が示す約7,040万ユーロの「booked and awarded business」には、複数年の顧客契約に加え、補助金や税額控除も含まれます。これは同じ期間の売上高でも、すべてが顧客からの受注残という数字でもありません。資金についても、6月末の現金・現金同等物約1億1,080万ユーロと、上場・資金調達後の8月27日時点の約3億1,290万ユーロは、時点を分けて読む必要があります。
事業の仕組みから考えると、今後確認したいのは、装置の納入や利用がどの時期に売上になるか、顧客の試験利用が継続的な利用へ進むか、開発と運用にどれだけ費用がかかるかです。量子ビット数の伸びに加えて、顧客が実際に使える計算と、そのために必要な費用を見ると、会社の進み方を捉えやすくなります。
株式と取扱いの確認窓口
上場会社はPasqal Holding SA、市場は米国Nasdaq、普通株の銘柄コードはPSQL、取引通貨は米ドルです。PSQLWはワラントで、普通株とは異なります。2026年8月の企業結合を経て上場しています。
2026年11月4日に楽天証券・SBI証券・松井証券を比較しました。楽天の銘柄ページにはPSQLの会社名と株価が表示されましたが、個別の新規現物買付入口は確認できませんでした。SBIの米国株一覧(10月16日基準)と松井の一覧・CSV(11月4日基準)では、PSQLの掲載を確認できていません。これだけで今後を含めた取扱い不可とは断定できません。
以下は購入先として確認済みのリンクではなく、取扱いの確認窓口です。問い合わせる際は「Pasqal Holding SA、Nasdaq、PSQLの普通株を新規に現物買付できるか」と伝えると、ワラントや別の商品との取り違えを避けられます。株価ページの表示と、その証券会社での買付可否は別です。
PSQLの新規現物買付は未確認(確認日:2026年11月4日)。取扱い・手数料・口座ごとの利用条件は、各社の最新案内で確認してください。
株価チャート
Pasqal Holding SA(Nasdaq:PSQL)の株価は、次のTradingViewページで確認できます。表示通貨は米ドルです。
Pasqal(PSQL)のチャートをTradingViewで見る
参考資料
- Pasqal:About Us
- Pasqal:Technology
- Pasqal:Quantum Computers
- Pasqal:Cloud Computing
- Pasqal:Software Suite
- Pasqal:Professional Services
- Pasqal:Our Quantum Roadmap(2025年版、1ページ)
- Pasqal:First Half 2026 Financial Results(2026年9月24日)
- Pasqal:企業結合完了の発表(2026年8月27日)
- Nasdaq:Pasqal Holding SA Ordinary Share(PSQL)
- 楽天証券:PSQL株価ページ
- SBI証券:米国株式取扱銘柄一覧
- 松井証券:米国株現物取引 取扱銘柄一覧
