Amazon.comを「ネット通販の会社」と呼ぶのは、間違いではありません。でも、それだけでは収益の形が見えてきません。商品を自ら売るだけでなく、出店者から販売・配送の手数料を受け取り、広告枠や会員サービスを提供する。そして企業向けには、Amazon Web Services(AWS)が計算・保存・データベースなどの基盤を提供しています。何が売上をつくり、何が利益を支えているのか。全社の数字から見ていきましょう。[1]
三つの事業区分と、商品・サービスの収益
Amazonの開示上の事業区分は北米、海外、AWSの三つです。北米と海外には、それぞれの地域のオンライン・実店舗での商品販売に加え、出店者向けサービス、広告、会員サービスが含まれます。AWSは、企業や開発者などに計算能力、保存領域、データベースを提供します。北米・海外が「どこで売ったか」を軸にしているのに対し、AWSはサービスの種類で分けた区分です。[1・2]
この区分とは別に、会社は売上を商品・サービスの種類でも示しています。2025年の出店者向けサービスは約1,722億ドル、広告は約686億ドルでした。前者には販売手数料や配送関連の料金が入り、後者には検索結果などのスポンサー広告、ディスプレー広告、動画広告が入ります。どちらも北米・海外の事業区分にまたがる売上の種類で、独立した第四・第五の事業区分ではありません。AWSや部門別の数字と重ねて足し算しないことが大切です。[1]
売上の約18%を占めるAWSが、利益では約57%
2025年通期の売上高は約7,169億ドル、営業利益は約800億ドルでした。売上の内訳は北米が約4,263億ドル、海外が約1,619億ドル、AWSが約1,287億ドルです。AWSの売上構成比は約18%。一方、AWSの営業利益は約456億ドルで、全社営業利益の約57%を占めました。数字は米ドル建てで、億ドル未満を四捨五入しています。[1]
つまり、売上の大きさと利益への寄与は同じではありません。北米の営業利益は約296億ドル、海外は約48億ドルで、配送網や店舗を抱える小売とAWSでは費用のかかり方も違います。ただし「AWSが利益の半分以上」という構図は、2025年の会社の事業区分別営業利益に基づくものです。広告だけの利益率を示す数字ではありません。[1]
直近の伸びと、利益を読むときの注意点
2026年4〜6月期の全社売上高は約2,006億ドルで前年同期比約20%増、営業利益は約275億ドルで約43%増でした。AWSの売上は約422億ドルと約37%伸び、営業利益は約166億ドル。北米と海外の売上もそれぞれ増えており、成長をAWSだけで説明することはできません。期間をそろえて比べると、どの事業が今の伸びを支えているかが見えます。[2・3]
この四半期の純利益は約626億ドルと大きく見えます。ただし、税引き前の営業外利益約534億ドルには、主にAnthropicへの投資の評価額上昇が含まれます。会社の四半期報告書が示す約505億ドルの上方調整は、通常の商品販売やAWSの利用料から生じた営業利益ではありません。事業の稼ぐ力を見るときは、純利益だけでなく、営業利益と現金の流れも並べて確認したいところです。[2・3]
稼いだ現金と、設備に向かった現金
2025年の営業活動によるキャッシュフローは約1,395億ドルでした。その一方で、設備の購入額から売却代金などを差し引いた支出は約1,283億ドル。会社が示すフリーキャッシュフローは約112億ドルです。さらに2026年6月末までの直近12か月で見ると、営業キャッシュフローは約1,614億ドルに増えた一方、同じ定義の設備支出は約1,690億ドルとなり、フリーキャッシュフローは約76億ドルのマイナスでした。年度と直近12か月は期間が異なるため、連続した二つの年度としては比較しません。[1・2]
これは、日々の事業が現金を生まなくなったという意味ではありません。配送網や技術基盤などへの支出が、その期間に営業活動で生んだ現金を上回った、という関係です。会社のいうフリーキャッシュフローも、すべての資金余力や会計上の損益を表す数字ではありません。成長に先行する投資が、将来どれだけの売上と利益につながるかが次の焦点になります。[1・2]
強みが広いぶん、確かめることも多い
Amazonには、買い物をする人、商品を売る事業者、広告主、クラウドを使う企業という異なる顧客がいます。その接点の広さは、複数の収益源を持てる強みです。一方、小売では価格と配送の競争、AWSでは性能・価格・信頼性の競争が続きます。配送網やデータセンターの容量を需要に合わせる難しさ、電力や部品の確保、競争法・消費者保護・データに関わる規制も、会社が挙げるリスクです。[1]
これから読む数字は三つに絞れます。北米・海外・AWSの売上と営業利益がどう変わるか。広告や出店者向けサービスが小売の中でどう伸びるか。そして、設備支出が続く間に、営業キャッシュフローとフリーキャッシュフローの差がどう動くかです。ひとつの事業や四半期だけに寄せずに見ると、Amazon全体の変化を追いやすくなります。[1・2]
銘柄と取扱いの窓口
Amazon.comの普通株式は米国のNasdaq Global Select MarketにAMZNとして上場しています。SBI証券の米国普通株式一覧にはAMZNが掲載され、楽天証券では2026年8月に利用者がAMZNを買い付けた実績を公式のランキングで確認できます。取扱状況や注文条件は変わり得るので、実際の買付画面で確かめてください。株価に加えて為替も変動します。[1・4・5]
AMZNの取扱いを調べる窓口は、こちらから。
株価を長い目で見る
NASDAQ:AMZNの米ドル建て月足で、長期の流れを見るチャートです。直近の月足は月末まで確定しません。[6]
参考資料
2026年9月26日確認。事業の通期数字は2025年12月期、直近四半期は2026年4〜6月期、現金の直近値は2026年6月末までの12か月に対応します。
- Amazon.com「2025 Form 10-K」 — 三つの事業区分、商品・サービス別売上、通期の財務・リスク。
- Amazon.com「2026年6月30日終了四半期 Form 10-Q」 — 四半期の部門別業績、投資評価額、直近12か月のキャッシュフロー。
- Amazon.com「Second Quarter 2026 Results」 — 四半期の業績要約と営業外利益の説明。
- SBI証券「米国株式取扱銘柄一覧」 — AMZN/Amazon.com/NASDAQの掲載。
- 楽天証券「米国株デビュー銘柄ランキング」 — 2026年8月のAMZN買付実績。
- TradingView「NASDAQ:AMZN」 — 会社名・市場・銘柄コードを照合したチャートページ。

コメントを残す