データセンターのSSDは、箱の中のNANDにデータを置けば終わりではありません。何枚ものNANDへ読み書きを振り分け、壊れた部分を避け、待ち時間をそろえる制御が必要です。韓国のFADU(パドゥ)は、この制御を担う半導体とソフトウェアを主力にする企業です。完成したSSDも提供していますが、収益の中心はSSDの「頭脳」に当たるコントローラーへ移っています。[1・2]
何を売っている会社か
FADUは半導体の設計に集中するファブレス企業です。主力の企業向けSSDコントローラーは、NANDの並列処理、データ配置、エラー訂正、電力管理などを引き受けます。設計したコントローラーを部品として供給するほか、それを載せた完成SSDも販売します。買い手は、半導体メーカーやデータセンター向けの事業者です。[1・2]
2026年上期の連結売上は1,327億ウォン。そのうちコントローラーは約1,084億ウォンで81.6%、完成SSDは約177億ウォンで13.3%でした。2025年通期のコントローラー比率69.4%より高くなっています。ただし、上期と通期の数字をそのまま年間成長率として比べることはできません。売上の構成がどう変わったかを見るための比較です。[2]
この構成には二つの面があります。コントローラーの採用が広がれば、顧客のNANDやSSD設計に入り込む機会が増えます。一方で、少数の大口顧客と製品認証の進み方に売上が左右されやすくなります。半期報告では最大顧客が売上の63.0%を占めますが、社名は開示されていません。[2]
営業黒字と最終赤字を分けて読む
2026年上期は、連結売上1,327億ウォン、営業利益239億ウォンでした。前年同期は売上429億ウォン、営業損失245億ウォンです。製品の売上増とともに、本業の損益は大きく改善しました。営業キャッシュフローも上期で181億ウォンのプラスです。[2]
しかし、同じ上期の最終損益は499億ウォンの赤字です。転換社債に関わるデリバティブ評価損約737億ウォンや、金融負債の条件変更に伴う損失約33億ウォンが金融費用に計上されました。営業利益だけを見て「会社全体が黒字化した」とは言えません。逆に、最終赤字だけで製品事業の改善を見落とすのも正確ではありません。両方を分けて確かめたい決算です。[2]
2026年6月末の現金・現金同等物は約564億ウォンで、前年末の約408億ウォンから増えました。同時に、棚卸資産も約412億ウォンから約711億ウォンへ増えています。需要を見込んだ準備か、後から負担になる在庫かは、次の出荷と資金の動きまで見なければ分かりません。[2]
強みを支えるものと、揺れやすいところ
企業向けSSDでは、最高速度だけでなく、負荷が続いた時の速度、遅延のばらつき、消費電力、信頼性が重要です。FADUはコントローラーの設計とファームウェアを一体で調整することを強みとして説明しています。大口顧客による採用や増えたコントローラー売上は、その設計が事業につながっていることを示します。ただし、会社の性能比較を、同じ条件で行った独立試験と読み替えることはできません。[1・2]
リスクは顧客集中だけではありません。新世代の規格に合わせた開発と認証には時間がかかり、NANDの供給や在庫、競合製品の性能にも影響されます。転換社債の条件変更は会計損益と潜在的な株式の希薄化を見る材料です。また、上場審査資料をめぐる事由で2025年末に売買が停止し、韓国取引所の判断で2026年2月に再開しました。再開は、関連する不確実性がすべてなくなったという意味ではありません。半期報告には訴訟の記載もあります。[2・3]
銘柄と取扱い
FADUは韓国KOSDAQに上場し、銘柄コードは440110、取引通貨は韓国ウォンです。株価の動きを見る場合は、この会社・市場・コードが合っているかを先に確認します。事業の改善と株式の評価は別の話です。現在価格や将来利益を使った評価を検証していないため、割安・割高はここでは判定しません。[1・2]
日本の証券会社については、SBI証券が韓国株を扱うことを確認しましたが、同社の公開取扱銘柄一覧に440110は見当たりませんでした。楽天証券の公式な外国株式案内では韓国個別株の取扱いを確認できず、アイザワ証券は韓国市場の取扱いを案内するものの、FADUという個別銘柄の現物取扱いは確認できていません。購入できる窓口は、現時点の公開情報だけでは特定できません。確認できない証券会社への購入ボタンは置かず、個別の取扱いを確認できた時に更新します。[4〜6]
株価は韓国ウォン建てで変動し、日本円で考える場合は為替も影響します。2026年9月23日時点で、この記事に広告・アフィリエイトリンクは掲載していません。
株価を長い目で見る
韓国取引所のFADU(440110)を、韓国ウォン建ての月足で見られます。数年単位の流れをつかむためのチャートです。直近の月足は確定前に変わります。TradingViewの配信価格には遅延や市場データの差があり、注文時の価格とは異なる場合があります。[7]
参考資料
2026年9月23日確認。金額は韓国ウォン、連結ベースで端数を丸めました。2026年上期は2026年1〜6月、2025年通期は2025年1〜12月です。
- FADU 2025年事業報告書(韓国取引所KIND) — 正式社名、上場、事業の説明。
- FADU 2026年半期報告書(金融監督院DART) — II-1・II-2・II-4、III-1〜3、XI-3。製品別売上、顧客比率、業績、現金、在庫、転換社債と関連リスク。
- 韓国取引所「上場適格性の実質審査対象から除外」 — 2026年2月2日公表、翌日の売買再開を案内。
- SBI証券「韓国株式取扱銘柄一覧」 — 440110・FADU・パドゥの一致を確認できず。市場一般の取扱いとは区別。
- 楽天証券「中国・アセアン株式/外国株式・海外ETF」 — 公式ページの「取扱商品」は米国・中国・アセアン株式を案内。韓国個別株の取扱いはこの案内では確認できない。
- アイザワ証券「取扱商品一覧」 — 韓国市場の一般取扱い。440110個別の取扱いは未確認。
- TradingView:FADU, Inc.(KRX:440110) — 銘柄、韓国取引所、市場通貨を確認。チャートの月足・数年表示は埋め込み設定。

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